■ひと段落修士論文の中間発表のひと段落の休憩期間中に1泊2日、長くて2泊3日くらいで終らせようと思っていたプロジェクトが予定を大幅にオーバーして(約丸4日)、本日アウトプット提出までこぎつけた。
4日間(間に1日空白日をはさんでいるが)、自分と相方の二人はほぼ不眠不休で取り組むがなかなかコレというアイデアが出ない。面白いアイデアはたくさん出るが、「面白いだけ」だったりする。「誰にとって面白いのか?」という側面を持たなければアイデアは心に突き刺さらない。
ターゲットを明確にしなかったのが議論を長期化させた原因なのかな、と反省しているが、逆に言うとターゲットを明確にするほどふんぎりがつかなかったという点もある(理由は後述)。
■未来の都市交通をデザインする難しさ
少し内容を具体的に話してしまうと、プロジェクトのお題は「未来の都市交通のデザイン」だ。
それを考えるにあたって、自分が設計したアイデア導出のデザイン設計はざっくり分けてみっつ。
- ギャップアプローチ:「未来において(どういう世界で)」「誰の」「何が」問題であるのか。問題発見型
- ポジティブアプローチ:「現在の世界には足りなくて」「あんなこと、こんなことできたいいな」。理想実現型
- 固定概念崩壊型:「都市交通とは?」や「移動とは?」と言った定義をガッチリ決めた上でその定義を崩してナナメ上を歩く。
個人的に得意なのは1と3なのだが、1で最も難しいのは「問題を発見する」こと。正直これさえ発見できれば全体の8割は達成できたと言っていいと思う(論文におけるリサーチ・クエスチョンみたいな存在だ)。
しかし、「未来の都市交通」をデザインするにあたって、現状においても未来においても正直な話、「移動」や「都市交通」に関してクリティカルな問題というのはそう多くないという結論に達した。
例えば、電車の乗り換えやラッシュ。例えば交通渋滞。例えば電車やエレベーターの待ち時間。
煩わしいであったり、なくなればいいなぁとは思っていても、致命的というほどの問題ではない。
都市に飼いならされてるよね、僕ら。というのが結論だ。
致命的ではないにしろ、「問題」ではあるから万人にとって共感はできるはずである
(ポジティブアプローチが難しい理由は「夢を他人に共感させる」ことの難しさに直結していることだと思う。夢は個々人によって違うが、抱えている問題は共通である場合が多い)。
しかし、すでに面白いアイデアが過去に出ていたり、例えば交通渋滞を解消する活気的なアイデアを思い浮かぶことができなかったりと、院生2人が40時間近くカンヅメして話しあってもコレだ!というアイデアを出すことはできなかった。
ターゲット設定にしても然りで「都市交通」とは「誰かのための」デザインでありつつも「誰のためでの」デザインでもあるべきだと考えたから、明確に例えば「親子」や「サラリーマン」といったターゲット設定ができなかったのである。
(つまりターゲットを明確にしつつも、インフラとしての都市交通は汎用性とバリアフリーの機能を確保すべきであると考えたわけ)
結局、1と3の複合で、「まあこういう見方もあるよね」という言葉回し的な言い換えと問題提起、「都会で生活する人」という漠然としたターゲット設定、そして既存の「移動」の定義のすり替えを行いなんとか納得の行くアウトプットを出すことができた。
正直な話、無事最後までアウトプットを出し切れたのは、途中で心身共に疲労し(3徹でダウンした)、「今回は出さないほうがいいかもね」と心が折れそうになった自分に「いや、出そうよ!」と英断してくれた相方の存在が大きい。
今回、アウトプットはもちろんのこと、彼に色々学ぶこと(思考法や閃き導出のプロセス、さらにはデザインスキルなど)が多くそれだけでもこのプロジェクトを組めてよかったと思う。個人的に反省すべき点と今後の課題も多く見つかったので。
とりあえずは予定を大幅に遅れてしまったので修士論文にさっそくフィードバックを活かしつつ本腰を入れていこうと思う。
■MECEとフェルミ推定の重要さ(余談)
今回組んだ相方が建築の人間ということもあって、上記のふたつのロジカルシンキング系のツールのありがたさがとても理解できた。
つまり、論理構築のはじめの一歩という役目以外にも、バックグランドを共有していない全く畑違いの人間に「納得感」を与える手っ取り早いツールだなと実感したのである。
この「納得感」というのが案外クセモノで、「説得」したわけではない。
あくまで「納得」なのだが、それでいいのだと自分は思っている。
相手を説き伏せてしまっては意味がない。
「なんとなくわかるわぁ」くらいの状態で、話を理解・共有させることが目標だ。
同じ立ち位置に立つことで初めて次の(個々人による)別々のアイデア出てくるのだと思う。
立ち位置がズレていれば、出てくるアイデアも全然明後日の方向を向いてしまっているだろうし、「説得」したのでは結局自分の考えに相手を染めただけなので、複数というメリットが発揮されず創発が産まれない。
バックグラウンドが違うということは、使っている言葉が違うということだ。
そういう人間に対して、こういうツールは「共通言語」として働き、ステージを同じにすることを可能にするのだなぁと改めて実感した(今までは割とMECEとかフェルミ推定に慣れている人たちと組むことが多かったり、使う必要がない場合が多かった)。



■「研究」に対してモチベーションがあがらない理由 
